第962回例会(FAX例会)

第962回例会(FAX例会)

丹羽ライオンズクラブ

                            会長 増田 収一

皆さん、こんにちは、皆様にはますますご清栄のことと存じます。風薫る季節になりましたが、新型コロナウイルスが世界中に広がる中で、今年のゴールデンウイークは、これまであたり前に見られた帰省ラッシュや観光地の賑わいもなく、様変わりしました。「命を守るステイホーム週間」という名の下、家の中で過ごす人がほとんどだったのではないでしょうか。私も、いろんな本を読むことが出来ました。

そんな中で、まさに最も過酷といっていい環境の中で戦っているのが、医師や看護師など医療従事者の人たちだと思います。最前線で、「感染するかもしれない」という危険と不安にさらされながら、患者たちと必死に向き合っています。ワクチンや特効薬がないという現状の中で、彼ら彼女らたちの使命感に支えられ、ギリギリのところで医療崩壊を食い止めているといっていいでしょう。

そんな医療や介護の従事者らに感謝と敬意を込めて拍手を送る「クラップ フォー ケアラーズ」という取り組みが欧米で始まっています。4月末現在、国内でも福岡市や福島県いわき市、大阪府東大阪市など自治体ぐるみで「フライデーオペレーション」として行われています。決められた金曜日の同じ時間帯に、マスクを付けて商店街などに2メートルの間隔を開けて立ち、みんなで拍手を送るのです。拍手は多くの人がそろわなければ成り立ちません。手と手をたたくことで発せられる音は、「ここにいるよ」というメッセージであり、心にダイレクトに響きます。多くの医療従事者の疲れ切った心を癒やし、明日への活力にしているそうです。もちろん、商店街がそれぞれの食材などを持ち寄って、医療従事者向けに病院へ差し入れをしている町もあるそうです。このような「感謝の連鎖」は、大それたことではなくても、ひとりひとりの少しずつの思いが社会を変えていくことを証明していると思います。私たちもできる範囲のことで、行動を起こしていきたいと思う今日このごろです。

新型コロナウイルスの危機はいつか去って行くかもしれません。ただ、去ったからといって、すべてが全く前の状態に元通りになるかと言えば、違うかもしれません。働き方や考え方など、今後、大きく社会が変わる転換期になるかもしれません。例えば、会社の会議もオンライン上で進み、インターネットでそれぞれが中継する「オンライン飲み会」「オンライン演奏会」も大きくクローズアップされました。コロナウイルスに伴う生活の変化をプラスに捉えるということだと思います。

「withコロナ」という言葉も出始めているようです。もちろん、コロナウイルスによって命を落とすような事態は避けなければなりませんが、感染症の危険性とある種、共生していくという考え方です。

一つ、参考になるかもしれない考え方を紹介して終わりたいと思います。私が読んだ本の中で、アイヌ民族の有志らが、病気の神が人間に近づかないよう祈りの儀式を行ったという内容でした。驚いたのは、儀式が、コロナウイルスを撲滅するのではなく、「何とか鎮まりください。お互いに生きていきましょう」との思いがこもったお祈りだったことです。ともに生きる・・・このアイヌの共生の精神は忘れかけていた現代社会に大きなヒントをもたらしてくれているのではないかと思っています。通常例会が一日でも早く開催されるよう願っています。