第963回例会(FAX例会)

第963回例会(FAX例会)

                 丹羽ライオンズクラブ

会長   増田 収一

「この度の突然の事故で大切な家族を失い、深い悲しみを受けています」「1日たつ毎(ごと)に家族としても胸が張り裂ける程の深い悲しみに包まれております」-。2019年5月8日、大津市の県道交差点で、車同士が衝突し、その弾みで近くを散歩中だった園児の列に突っ込み、ともに2歳の男の子と女の子が旅だった事故だ。あまりの凄惨さに、当時大きく報道され、覚えている方も多いと思う。冒頭の言葉は、遺族がその時、発表したもので新聞に掲載されていた。全国の多くの人が、「あと1秒車同士がすれ違う時間が遅かったら・・・」「あと1分散歩の出発時間が違っていたら・・・」と、悲劇の偶然に愕然としただろう。記者会見で泣き崩れた園長の姿も、さらなる無念さを誘った。

交通事故は、誰しも人ごとではない。車や自転車など運転者側も歩行者側もいずれも、かつ、いつの時代もいえる。

戦後の交通事故死者数を調べてみると、1946年(昭和21年)には年間4400人だったが、戦後の復興とともに年々増加し、1959年(昭和34年)にはついに1万人を突破したという。1961(昭和36)年には、「交通戦争」をいう言葉が流行語になったりしたこともあった。

愛知県内の交通事故死者数といえば、69(昭和44)年に過去最悪の912人を記録。その後、減少傾向に転じたものの、2003~18年は16年連続で全国ワースト。「名古屋走り」と言われる交通マナーの悪さが「名物」となったりもした。そのたびに、交通事故対策について社会全体で本気になって取り組んできたと思う。ライオンズクラブでも、交通安全を訴えるための監視活動は精力的に担ってきた。

今年に入り、うれしいニュースも届いた。2019年の交通死亡事故死者数が3215人(前年比317人減)となり、2009年からの過去10年間で最も少なかったことだ。このうち愛知県は33人減って156人。愛知県は、ようやく交通事故死者数が最も多いという「不名誉な最下位」から脱することができたという。ただ、数字はあくまで数字であり、ゼロではない限り、数字の裏側にはその家族や友人、同僚など多くの悲しみがあることを忘れてはならないとも思う。

幼い2人が巻き込まれた大津市の事故もしかりだが、交通事故は本当に痛ましい。朝、元気に家の扉を開けたのに、「ただいま」と言えずに無言の帰宅になることだ。車は便利だが、ひとたび事故となれば、誰をも幸せにしない。一方で、残念ながら、人の記憶は時間の流れとともに薄れてしまう。それを自覚した上でできることと言えば、ライオンズクラブが交通安全運動に取り組んできたように、お互いに声を掛け合い続けるということではないかと思う。「あの交差点は事故が多いみたいよ」「安全運転で気を付けようね」と、日頃からお互いに声を掛け合うことはありふれたことかもしれないが、誰でもできる「会話のシートベルト」だとも思っています。

ハンドルを握る前には、必ず一度大きな深呼吸する癖を付ける、という自分なりのルールを作るのもいいかもしれない。そんなルールがあれば、ぜひ皆で共有して会話を弾ませたい。偶然の惨劇を避ける術を、社会の一員として、ライオンズクラブの一員として、身につけ続けていくべきだと思う。それが、事故で亡くなった人たちの無念さを救う唯一のことだと思うからだ。大津市の交通事故から1年という節目にあらためて考えていきたいテーマだと思っている。

5月14日に緊急事態宣言解除がありましたが、3蜜を控え、消毒、うがい、等を守り、なるべく外出を控え、6月には、3蜜にならない例会が出来るように、準備しています。もう少し我慢してください。